■表情の特徴と描き方(怒り)■
■表情の特徴と描き方(怒り)■
ここでは、漫画絵でのキャラの表情の1つ "怒り "の表現について説明します。
表情全般は他のページで説明してますが、そちらでは場面や体の動きなどは抜きにした、表情だけ変えた喜怒哀楽の説明でした。
しかし、実際の喜怒哀楽の表情はシーンによって大分表現の仕方が変わります。
また、カラーかモノクロか、あるいはその絵をどんな目的で使うのか(漫画か、挿絵か、表紙かなど)によっても表現の仕方が変わってくるかと思います。
ですので、今回は顔かたちだけでなく、その他の部分も含めた表現に関する小技の説明になります。
なお、ここで言う "漫画絵 "は漫画によくあるようなモノクロの絵であるものとし、あくまで一例として扱って下さい。
1つ目は、 "激しい怒り "を表した絵です。
(この絵は、オリジナルの創作用に描いたものですが、使い勝手がいいと思ったので、こちらでの説明用に使い回します)
この絵での怒りの表し方は次のような物になります。
@目を見開いて瞳孔を点にする。
A眉に力を入れ、眉間や鼻筋にしわを寄せる。
B歯を食いしばる。
C目の周辺の影を色濃く出す
D服の影を通常より荒っぽく描く。
E髪も少し乱して平静時より「ブワッ」とした感じにする。
だいたいこんなところでしょうか。
@については、本来、人が怒るときは瞳孔(黒目)が開くらしいですが、私の場合、逆に狭めてほぼ点で描くことの方が多いです。
もちろん、目を黒く塗りつぶしても独特のキャラの怖さ(無機物感)は出ますが、そこは状況によって使い分ければいいと思います。
Aについては、場合によっては額の方にシワが入ったりもします。
この絵では額まで歪ませると "怒り "というより "嫌悪 "になってしまったので、そこは影を入れるだけにしています。
Dについては、シーンの関係上ポーズが静かなままで、影付けだけ荒っぽくしています。
完全にキレて殴りかかるとかなら、体全体で荒っぽさを出すと良いと思います。
Eについては、立毛筋の収縮で毛が逆立つとか、そういうのを意識して描いてるだけなので、髪型を大きく変えたりはしていません。
細かい部分になりますが、実は目の描き込みで細かな線を付け足しています。
これもケースバイケースですが、この絵ではないよりあった方がそれっぽい雰囲気が出ます。
ちなみに、口の方も少しだけ線を加えています。
次も使い回しになりますが、この絵では、 "静かな怒り "を表しています。
1つ目と比べて、こちらの絵では、
@表情は無表情に近い
A影付けはカケアミではなくグレーのベタ塗りで、そちらでは荒々しさを出さない。
Bそこに途切れ途切れの縦の効果線を加える。
といった描き方をしています。
その一方で、 "目周辺の影 "、 "瞳孔が点 "などの共通点はあります。
また、このキャラが炎使いなこともあり、 "背景の揺らめき影 "を付けていますが、
この他 "服の千切れ方 "、 "髪の揺れ "なんかもちょっとしたエッセンスになっています。
ひとまずここまで。
怒りの例として絵が2個だけというのは少ない気もしますが、他にあまり適した絵が見つからなかったので、
後でそういった絵を描いた際に加筆できればと思います。
また、私の場合だと、シーンごとの表情や影付けは、パターン化しているものもいくつかありますが、
結構行き当たりばったりで、そのときの気分で表現の仕方を決めることも多いです。
ですので、皆さんも機会があったら、自分の思う "怒り "の表現を模索してみてください。
今回のポイントは、(他の表情もですが、)「怒りの表現は顔かたちだけではない」ということです。